2021年のRJCリサーチによる調査によると、スターバックスは全国ブランド認知度93.1%という驚異的な数値を誇り、マクドナルドに次いでトップクラスの地位を築いています。その過去の利用経験もまた、トップクラスに位置しており、今後の利用意向アンケートでも一位に輝きました。(参照元)
もちろん、スターバックスは日本国内だけでなく、世界中でも愛されるカフェチェーンとしての地位を確立しています。(参照元)
みなさんはスターバックスといえば何を思い出しますか?
大半の方は緑色の、なんだか丸いロゴを思い浮かべるのではないでしょうか。
ロゴは企業やブランドの「顔」です。人は、視覚から8~9割の情報を得ていると言われており、サービスや商品に対して「いいな!」と感じた時にロゴを通してブランドのイメージを記憶します。この過程が繰り返されることで、消費者はロゴを見ただけでブランドを認識し、愛着や信頼のイメージを抱くようになります。
今回はみんなに愛されるスターバックスの、「顔」の変化についてお話ししていこうと思います。
(参照元)
こちらは、歴代のスターバックスロゴをまとめた画像です。現在のロゴは1971年のロゴに比べてかなりシンプルになりましたね。
スターバックスのロゴはギリシャ神話に登場するセイレーンをイメージして作られました。美しい歌声で船乗りを魅了するセイレーンのように、「コーヒーの香りで道ゆく人々を魅了したい」という想いが託されています。
1987年にスターバックスは買収され、その年にロゴもリニューアルされました。チェーン展開を本格化させるため、大衆を意識した変化が加えられました。セイレーンのイラストはデフォルメされ、見やすいデザインに変わりました。ビジネス内容が書かれていた文字部分も「COFFEE」の文字だけに絞られました。
1992年のロゴからはスターバックスの象徴であるセイレーンがアップになったデザインに変更されます。これは、足を開いたように見えるセイレーンが卑猥だという意見を元に変更されたと言われています。
2011年のロゴは創立40周年に新しくデザインされたものです。セイレーンのイラストが更に拡大され、「STARBUCKS」と「COFFEE」の文字は削除されています。ロゴ変更当初は文字を消してしまったことに多くの批判の声が上がりました。しかし、その変化を通して、スターバックスはただ単にコーヒーを販売するお店ではなく、カフェが持っているドリンクを通した経験、人との交流、素敵な時間を提供する空間としての強みをアピールすることができました。
ロゴの変更には他にも重要な要素があります。セイレーンのイラストをよく比べてみると顔の印象が変わっているように見えませんか?顔の輪郭は少し丸く、鼻の形状が少し曲がったように見え、口角の形にも違いがでています。左右対称だったセイレーンの顔が左右非対称になりましたね。これは、左右対称が完璧すぎるセイレーンの顔が人間のように見えず、死んだ人やお化けのようにも見えた過去のデザインを改善した結果です。確かに変更後の顔の方が人間的で愛嬌があるように見えます。
この様に、スターバックスというブランドは多くの消費者に慕われるために商品開発やサービスの改善だけでなく、愛着と信頼をもたらす為に進化していくロゴデザインが深く関わっています。スターバックスが飲食店世界市場シェアランキング一位に輝いているのも納得ですね。(参照元)
ジュニアアートディレクター
姜