(出典:コリンキャパニック公式Twitter)
W+K
Wieden+Kennedy(ヴィーデン+ケネディー)は、現在ではオーナー系としては世界最大クラスの広告代理店です。
1980年、とある広告代理店でNIKEアカウントの担当だったダン・ヴィーデンは、職場で知り合ったデビッド・ケネディーと共に、1982年4月1日にWieden&Kennedy(後にWieden + Kennedyに変更)を設立、NIKEをクライアントとして連れて行きました。
世界で最も有名なタグライン「Just Do It.」の生みの親もヴィーデンです。
1980年代にビジネスの低迷に陥っていたNIKEに、マイケル・ジョーダンとスパイク・リーの異色のコンビでプロモートしたスニーカー(AJ4)が爆発的なベストセラーとなり、
NIKEの窮地を救ったのもW+Kでした。
W+Kの言葉を無視できないフィル・ナイトは、キャパニック起用に従ったのです。こうして新たな「Just Do It.」の広告が誕生しました。
(出典:GQ公式サイト)
ブランド・アクティビズムというマーケティング手法
「主義主張や意義のないブランドは淘汰される」。
アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが語るブランド・アクティビズム。
ブランドを通して、意見を共にする消費者との強い繋がり、ロイヤリティーをつくりあげることを目的としたマーケティング手法です。
エデルマン・リサーチ社調査書「2018年度エデルマン・アンド・リサーチ」によると、
「意見、主張が二分化している国の中で、ブランドもどちら側を取るか表明することを余儀なくされている」と報告されています。
しかも、このトレンドはアメリカだけのものではなく世界的なもので、米国の59%、日本の60%、英国の57%、ドイツの54%の消費者が、年齢や経済的条件に関係なく、社会的、政治的立場を表明するブランドを購買する、と報告されているのです。
この調査は世界各国の消費者8,000人をインタビューしたもので、彼らのほとんどが、社会的問題を解決する力は政府よりブランドの方が強いと述べているそうです。
エデルマン・リサーチ社エデルマンCEOは、「ブランドは、伝統的なマーケティングの目的であった“販売”を超え、オピニオンリーダーになっている。」と語っています。
キャンペーン「Dream Crazy」の結果は?
W+Kは、この調査書が報告される前に、ブランド・アクティビズムの潮流をよんでいたのです。
「Just Do It.」の30周年記念キャンペーン「Dream Crazy」は、NIKEが提唱する「ダイバーシティ(多様性)」、「フェアネス(公平さん)」、「イクオリティ(平等さ)」というコンセプトに沿ったものでした。
フリーのクリエイティブ・ディレクター、ショーン・リーは、「天才的なインサイトだ」とW+Kを賞賛しています。
最大のリスクを負ったこのキャンペーンで、NIKEは60億ドルもの巨額な収入を得る成功を収めました。
参考文献「ブレーン2019年2月号」