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Category:優れたブランデッドコンテンツ紹介

「ビール、飲みませんか」 松坂大輔×斎藤佑樹篇 ―KIRINによる「ビール」というカテゴリーのブランディング―

ブランデッドコンテンツとは
「企業のブランディングのために、
自社の姿勢や理念に対する顧客の共感を呼ぶ
ストーリー性のある映像」です。
5Gという次世代通信の浸透、
YouTubeやVimeoといった
動画プラットフォームの普及により、
今や企業が長尺、文脈での映像で潜在顧客との
コミュニケーションを図ることが可能な時代です。
だからこそ企業がブランデッドコンテンツにより
企業ブランドのファンを獲得することが重要なのです。

今回はKIRIN 一番搾りの事例を紹介いたします。

2022年2月から約1ヶ月間行われたKIRIN一番搾りのキャンペーンテレビCM。
同CMのメッセージは、

「ビール、飲みませんか」

このメッセージを打ち出したKIRINの真の狙いは何なのでしょうか。

夏の甲子園の優勝ピッチャーが2人。
2人が席につき注文したのはビール。
「お互い、お疲れ様でした。」という松坂大輔の一言で乾杯。
ビールの美味しさに思わず笑顔になる2人。

2人だけの空間が始まります。

初対面の時の印象。
高校野球時代の話。
嫌いだった練習のメニューなど
共通の話題に花を咲かせ、ビールもすすみます。

そんな中斎藤佑樹が
「今更なんですけど、大輔さんって呼ばせていただいていいですか?」
と尋ねる。

ここから二人の距離がぐっと縮まります。
辛かった怪我の話。
実は同じだったこれからの夢。
対戦の日には登板するか互いに想い合っていたことなど
あんな話やこんな話へと会話が広がります。

最後に斎藤佑樹が
「この関係性、これから続けていって頂けますか?」
と尋ね、松坂大輔は
「いいね。これから飲みに行ったりする機会増やしていきたいね。」
と笑顔で答え、最後にビールを一口。

ビールといえば、瓶で互いのグラスに注ぎ、注がれるようなイメージがあるように
昔から大人の庶民的コミュニケーションの一つなのです。
だからこそビールは肩肘張らないコミュニケーションツールであり、ウイスキーよりも緊張感のないものに感じるのです。

ただそんな親しみのあるビールに取って代わるかのように
サントリーが「角ハイボール」を売り出しました。
低カロリーで、CMでは一流女優が起用され、
女性でも飲みやすくお洒落なイメージのあるハイボール。
それによってビールで乾杯する人も減ってきたようです。
(これはこれでサントリーによるウイスキーのブランディングですね。)

そのようなビール離れが増える状況の中、
KIRINは庶民的、親密的コミュニケーションとしてのビールを再提案しようと、このようなクリエイティブで表現したのではないでしょうか。

糖質offや麦芽○%などの商品の直接的な宣伝ではない、2人のはずむ会話のみのこのCMはストーリー性があり、まさにブランデッドコンテンツと言えるでしょう。

つまり「ビール、飲みませんか」シリーズは、ビール業界のトップブランドであるKIRINによる、「ビール」そのもののブランディングなのではないでしょうか。

小生も、昔の上司とキリンビールで旧交を温める、そんな飲み会をしたいと感じてしまいます。

【本編】